「ただし抵抗はあるものとする」のためのノート

先日、十和田湖から奥入瀬渓流を徒歩で散策した。約20万年前の噴火でできた屏風状の崖から落ちた岩が、川の流れや滝を遮るようにゴロゴロしていた。岩には鮮やかな緑色の苔がびっしりと生え、樹木やキノコも育っている。どう見ても静止しているようなその岩は、しかしガイドさんによると、何百年もかけて今も転がりつづけている状態なのだという。超スローモーションで再生されるライク・ア・ローリング・ストーン(!) 岩は、毎秒5.2トン流れる水と抵抗することで、細やかな水の泡を生み出していた。
十和田市現代美術館で開かれる「ただし抵抗はあるものとする」展は、光栄なことに、私にとって美術館でのはじめての個展になる。私はこれまで、流動的な状態を抽出し、動きとエネルギーについての作品を制作してきた。ここでは、螺旋や回転体にフォーカスした新作を作る予定だ。
近現代美術史をたどれば、デュシャン《階段を降りる裸体》、タトリン《第三インターナショナル・タワー》、スミッソン《スパイラル・ジェッティ》、あるいはトニー・クラッグの彫刻など、多くの作品に螺旋や回転体が表現されている。彼ら表現者は動きとエネルギーについて考えて来たのではないか、そして彼らの表現は今も転がりつづけている状態なのではないか。この展覧会は、その延長線上にある一つの問いになればと望んでいます。

「ただし抵抗はあるものとする」のためのノート