Sense Island 2022 感覚の島 [group]

猿島、神奈川

2022年1月22日–3月6日

会期中の金土日及び祝日と2月10日(木) 22日間 16:50–21:00
※三笠桟橋発 16:50/17:35/18:15/19:00のいずれかの船を事前にご予約いただき猿島に渡り、帰りは指定された船で三笠桟橋に帰着
※3月4日(金)、5日(土)、6日(日)は16:30/17:35/18:15/19:00のいずれかの船をご予約ください。
URL: https://senseisland.com/

Photo: Naomi Circus

タイトルに引用したのは、テレビ番組「ここに鐘は鳴る」に出演した禅僧・鈴木大拙が、国際電話がうまく通じずに繰りかえし発した言葉だ(NHKで1959年9月24日に放映。この番組はYouTubeで見ることができる)。この言葉を、100メートルほど離れた会場の両端にあるスピーカーから、一瞬だけ時間をずらして流す。鑑賞者はトンネルの端からもう一方の端へと向かうなかで、エコーによって不明瞭だったサウンドが“音速のゆらぎ”によって変化し、やがてある一点においてフォーカスするのを感じ取ることができるだろう。
 基本的にはリベラルな思想を持ち、世界を広い視野から見ていた人物だったと私は思うが、大拙が俗事にかまけない、ステレオタイプの「禅の大家」然とした人であったわけではない。むしろ彼は世の中の出来事に対して積極的に発言し介入したし、その主張は時代のゆらぎによって変化し、こだま(エコー)した。たとえば「平和主義を強力に主張することもあれば、戦争を是認する言説もあり、その観点は揺れて」いた(末木文美士「鈴木大拙の再評価に向けて」より)。不明瞭だったサウンドがフォーカスを合わせることで聞こえてきた言葉が「I canʼt hear you very well(よく聞こえません)」であることの“禅問答”を、近代化の端緒、国防のために造られた要塞島に響かせた。

Sense Island 2022 感覚の島 [group]