距離をめぐる11の物語:日本の現代美術 [group]

Online (9am–6pm[JST])

2021年3月30日–5月5日

毛利は本展覧会にて、新作「For the Birds」を発表しております。

https://11stories.jpf.go.jp/

本作では、日本国内のとある遠隔地の森の風景がライブストリーミングで配信されている。現地では、スピーカーから流れるコロナ禍に関連する文言が偶然聞こえる周囲の音と交じり合い、マイクで収音される。これは音声自動認識プログラムにより奇妙な言葉に変換され、この音声出力→収音→誤変換という過程が繰り返されフレーズは変わっていく。言葉の誤変換を表現することはサイバースペースの中だけでも可能だが、毛利は意図的に現実世界を介入させる。今日私たちが体験しているリアルとバーチャルの混乱が、言葉の混乱に重ねあわされているかのようである。

本作はジョン・ケージとダニエル・シャルルの対談集『小鳥たちのために』(1982年、青土社)に想を得たもの。ケージの苗字「Cage」は「籠」をも意味するが、移動を制限された今日の私たちも籠の中の小鳥と同様であろう。その中に閉じ込められた私たちはネット上で(時に作為的に)事実と異なる内容にズラされ変化していく無数の言葉を読むという、コロナ禍の日常を作家は念頭に置いている。現地には鳥の餌付けも置かれるが、現在、「鳥のように自由」(free as birds)という言葉以上に私たちよりも自由な鳥たちは、本当にこの誤変換のループに加わってくれるのだろうか? (キュレーター=近藤健一)

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